Amazon.co.jp: 白薔薇の女王(上) (MF文庫ダ・ヴィンチ): フィリッパ・グレゴリー, 江崎 リエ(翻訳): 本
「ブーリン家の姉妹」の作者の最新作。「薔薇戦争」の時代、未亡人エリザベス・ウッドヴィル
はヨーク家のエドワード4世から求婚され、王妃となるが、この結婚を快く思わないウォリック伯
(キングメーカーと呼ばれた最初の人物)は王弟ジョージを抱き込んで反旗を翻す。
「ブーリン家~」より50年前の時代の作品。低い身分のエリザベスが王から求婚されると言う
まるで「シンデレラ」のような序盤ですが、このストーリーはそんな甘い話ではありません。
勝手に結婚した王に反発した、ウォリック伯(フランス王女との結婚話を勧めていた)との
戦い、王弟ジョージの王位への野心、ランカスター家の思惑など、次から次へと困難が待ち受けて
います。一度は勝利を手にしたもののエドワード王の死によって再び戦いの時代が始まり、やがて
大きな「悲劇」が襲うことになります。
エリザベスの母親、ジャケッタが印象的。水の女神の血を引く高貴な一族の生まれの彼女は、娘の
エリザベスの為に自分の子供達を有力者と結婚させ、親族を高い地位につけたり、娘に「王妃と
しての生き方」を教えたりします。後半、この教えが彼女の行動に影響を与えているのだと思い
ました。物語は中途半端な形で終わっていますが、この続編はマーガレット・ボーフォートを
主役にして続くんだとか。野心家のマーガレットがどんな風に描かれるのか楽しみになってきました